陶石から美しい九谷焼ができるまで…その工程をここで紹介していきたいと思います。
1つの器が完成するまでの、その流れをみていきましょう。
九谷焼の主原料である陶石。石川県では小松市の採石場で採石されています。
小松市花坂の採石場。花坂陶石は、江戸時代に発見され、今でも採石は続けられている。
花坂陶石は、鉄分が多い。そのため素地は、グレイがかった味わい深い白色に焼き上がる。
昔ながらの製法としては、陶石を粉砕し、陶石から不要なものを取り除いて粘土を作ります。
また大量生産に対応できるトロンミルという機械を用いて粘土を作る方法も。
陶石をスタンバーという機械で粉砕。その後、水簸(すいひ)という工程で不純物を取り除く。
さらに鉄分除き、そしてプレス機にかけて脱水し、粘土が完成する。
粘土から器を形作る工程です。成型方法は、ロクロ成形や鋳込み成形、手起こし、手びねり、たたら成形などがあります。
ロクロ成形。粘土の塊を回転させながら器を形にしていく。酒器や食器、壺など様々なものが成形できる。
鋳込み成形。石膏の型にドロドロにした粘土を流し込んで成形する。量産が可能。
成形した器や置物は、削りなどの仕上げを施し乾燥させ、次は窯に入れて焼成です。
6〜8時間かけて、約800℃で焼成する。
焼き上がった素焼き素地。ほんのり赤茶色に。
釉薬を素焼き素地にかける工程です。釉薬(ゆうやく)は、高温で焼くとガラス質に変化し、陶磁器表面を覆う透明な膜となります。
素焼き素地に釉薬をかけるのは、手作業。
均等に釉薬がかかるよう、素早い作業が求められる。
施釉を施した器は、再び窯へ。約1300℃で12〜15時間かけて焼き上げます。
素焼きより高い温度で焼くことで、より硬く焼きしまる。
本焼きを終えると、素地は白くなり、釉薬は透明なガラス質に変化する。白磁の器に。
焼き上がった白磁の器に絵付けを施します。呉須と呼ばれる顔料で線描きをし、その上から和絵具などで加飾します。
呉須で描かれるのは絵や文様の輪郭線。写真は呉須と赤で線描きが施されている。
緑、黄、紫、紺青の和絵具を呉須線の上に重ねるように塗っていく。焼成前は異なる色をしている。
上絵付けを施したものを焼成します。上絵専用の窯を使って約800〜900℃で焼くと絵具が器に定着します。
上絵窯で4時間から最大10時間程度焼成。上絵の技法によっては、複数回に分けて焼成することも。
焼き上がった器。和絵具は焼成後、美しく発色し、透明感があり、呉須線で描いた文様が浮かび上がる。